大仏様、照らされて。

大人の遠足の日。
友ふたりと由比ヶ浜の鎌倉文学館へ。
日が傾いてからの待ち合わせだったにも関わらず、
ほんの10分ほど歩いただけで、一旦シャワーを浴びさせてもらいたいと思うほど汗が流れた。
古い洋館の中で涼みながら、かつての文豪たちの遺したものを観て、
地下の展示室で目的の絵を観終えると、外はとてもきれいな青い時間になっていた。
丘の上のお屋敷は映画の中のように美しい。
やわらかい芝生の上を歩きながら、束の間、優雅を楽しむ。

鎌倉文学館はバラ園が有名だけれど、いつも花の盛りを少しずれての訪館で、
この日も暑いさなかに咲き続けているバラが気の毒に思えた。

そのまま長谷まで歩く。
丁度、夏の良いことのある日だと聞いていた。

「長谷の灯かり」にはまだ早いので、ちょっと飲んでお寿司を摘まむことに。
あぁ、大人の遠足だ。
おかしな話をしながら、友が笑う。

高徳院に着いた頃はまだ少し空の端が明るく、足元のろうそくもちゃんと見えていたけれど、
大仏様をゆっくりと一回りしている間に日は落ちた。

お背中がとても優しく、あたたかい。

この角度が素敵だと思う。

人の顔も見えないくらい暗くなり、それを承知で写真を撮り合っていたら、
三人で撮ってあげますよ、と近くにいた方がご親切に声を掛けて下さったのでお願いした。
案の定、怖い写真みたいになったけれど、それはそれでおかしかったので良しとした。

海の方へ行ってみよう、と長谷寺の提灯を下げた浴衣姿のお嬢さんたちを横目に少し歩いた。
砂浜で花火をしていた。
丸い月が海の上にあり、静かな波がきらきらときれいだった。
思いがけない贅沢な眺めは、その一日をとても良いものにしてくれた。

夏が静かに終わって行く。

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