小さな友。

季節ごとの行事として大きな車に乗って「みんなでどこかへ行く」をする。
尊敬すべき妹のような友とその小さな息子と一緒に、風に揺れる赤いポピーを見に行った。
幼稚園に通い始めた小さな友は、ひと月前に会った時よりも文章で話すようになっており、
端々に大人びた物言いを挟み、その年齢らしく広い場所では駆け出して、
横を走り抜ける時に「おっさきぃ!」と得意気な顔を見せ、
蕎麦屋の小上がりできちんと脱いだ靴を揃えたりする。
おもしろい年齢だ。
一緒にいて飽きない。
手に握った椎の実をわたしの手にのせてくれる。
拾った桜の実をこちらに差し出す。
赤い花びらを見せてくれる。
誰かの作った白詰草とクローバーの冠をママとわたしの頭にのせてくれる。

四つ歳下の従姉妹のような間柄の彼女が小学生だった頃、ふたりで原宿を歩いた。
小さな彼女はお小遣いでマフラーが欲しいと言い、わたしはそのお買い物を手伝った。
彼女は、少女らしい可愛い色ではなく、何にでも合わせ易いと薄いグレーを選んだ。
その賢い物の選び方は彼女の基本であり、
30年以上の付き合いの中でわたしにとって彼女はとても確かな人となった。
彼女の一番上の娘が東京の大学に入り、一人暮らしを始めた。
わたしは短い手紙を書いた。
東京での暮らしが明るく楽しいものであって欲しいと思った。
日を空けずに葉書が届いた。
わたしもまた返事を書いた。
大学の友達と美術館へ行ったと葉書が届いた。
思う気持ちが行ったり来たり。

ここ数日、冬に戻って行くのかと思うほど寒い日が続き、
暑くなり始めて気分良く過ごしていたところをくじかれた。
寒いのは駄目だ。
心が弱る。
今朝も、寒い寒いと布団の中でぐずぐずとし、
のろのろと支度をしながら身体を無理矢理起こしていたら、小包が届いた。

友の娘がこの春から晴れて社会人となり、
初任給でわたしに美味しいものの詰め合わせを贈ってくれた。
泣かせることを、参る。
彼女が生まれた時から知っているし親しくもあるけれど、
ちょっと年の離れた友と思っていたので、
まさかの初任給で贈り物を頂くと、途端にもう孫のように思えてしまう。
あぁ、愛しいこと。
赤ちゃんの時のことも、抱っこしたりおんぶしたり肩車したりした時の重さも、
こちらを覗き込むように見つめていた瞳も、けたけたと笑う声も、ちゃんと思い出せる。
小さな彼女にひらがなでたくさん手紙を書いたことも。

わたしの中の小さな友との想い出は楽しくて楽しくて、思いも掛けない幸せばかり。

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