北京、再見!

北京は、古いものを壊しながらものすごい勢いで新しく生まれ変わろうとしているようだった。
もう少しゆっくりと進めば古き良きものを残しながら開発できるのではないかと思うけれど、
そんな悠長なことを言っている場合ではない、遅れを取り戻さねば、という印象を受けた。
きっと広過ぎるのだろう。
残すと決められた地域は、日本の京都のように美しい。
あぁ、違う、京都が中国から学んで創られた街なのだと、訪れて改めて知った。

糖葫芦(táng hú lú)という果物の飴がけ、食べてみれば良かった。
細い路地にお邪魔してみれば良かった。
町の小父さんや小母さんと話しをしてみれば良かった。

わたしたちは毎日とても素晴らしい食事の席に着いていた。
北京料理、広東料理、モンゴル料理、創作料理、
日本人に馴染みのあるいわゆる普通の中華料理、
いろいろな地方の料理を出す店に連れて行って頂いた。
軽く20人は座れるであろう見たこともない大きな円卓は、
ゆっくりゆっくりと電動で回っていた。
初めての挨拶はみんなに一度に済ませるのではなく、
ひとりひとりの席に「わたしはこの会社のこういうものです」と行われる。
そう言えば、行きの空港で知った中国へのお土産の常識は、
「みなさんで」ではなくひとりひとりに手渡すものだということ。
わたしたちは慌てて会うであろう人数を予測して多めにお土産を用意することになった。
それから、贈り物に時計はご法度なのだとか。
日本とは全く違う仕来りを教えられる。

料理はどれも驚くほど美味しくて飽きることはなく、
おそらく手頃な値段の店であってもきっと満足したに違いない。
教えて頂いたおやつのひとつに、紅棗夾核桃(hóng zaǒ jiá hé taó)という
干した大きな棗に胡桃を挟んだものがあった。
これは素朴でかつ旨い。
日本に戻ってからも中華街で大きな干し棗を買い、
同じように胡桃を挟んで食べている。
毎日でも構わないと思える食事ができれば、その街に暮らせるのではないかと思う。
あとで家賃がとても高いと聞いたので、そう簡単ではないと考えを改めたのだけれど、
北京は暮らしてみたいと思える街だった。

懐かしいと感じる風景が其処此処に在る、
短い滞在を濃い思い出にしてくれた北京、
いつかまた訪れることができるようにと日々心に。

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