梅見。

どうしてこんな所に植えられたのか、これほどの年月を切られずに。
この立派な梅の木もその内に切られてしまうのか、と案じてしまう。
木の下に立つと花はとても高い所にある。

時折、母ととても短い散歩をする。
丁度今が見頃、花の季節はほんの数日ずれただけで逃してしまう。
綺麗な時に来られて良かった。
顔を寄せると甘い香りがする。
紅梅の前で母の写真を撮る。
笑ってと言ったのにどうして怪訝な顔をするのかと可笑しかった。

何年も前に、青梅の梅を見に行ったことがあった。
山一面を覆う梅の色は極楽かと思うほど美しかった。

和の花が咲く庭のお屋敷の隣に暮らしていたことがあった。
それは見事な枝垂れ桜と腕を広げるように優雅な梅の木と採り切れないほど実を付ける柚子の木。
地面にはすみれの花や鈴蘭、小さく可愛い花々がその季節を彩っていた。
主人がお屋敷を離れることになり、その庭も無かったことにされた。
枝垂れ桜は輪切りにされ、梅の木も柚子の木も倒された。
切られた梅の木を見て、嗚咽した。
隣に暮らしていただけなのに、わたしはその人様の庭にひどく愛着を持っていたのだと、
その時に気付いた。
柚子の木をこれから切るという時に、その実を籠いっぱいに頂いた。
すみれを根から鉢に移した。
身体も心も疲れていたその頃、わたしを癒してくれた木や花があった。

喪服を作る時に、祖母から我が家の家紋は三つ盛梅だと教えられた。
それは、愛らしい梅の花に魅かれる理由のひとつとなった。

梅の花を見て、想い出すことのいくつか。

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