東京雪景色。

年に一度か二度、東京でもたくさんの雪が降る。
翌日にはあらかた溶けてしまうけれど、日陰に積もったものが冬の終わりまで残ることもある。
昼過ぎから夜半まで、雪は降り続いた。

幼い頃、雪の深い土地で育ったので、今も雪が降るとただ嬉しい。
子供のわたしには雪掻きの労もなく、
冬とはこういうものであると暮らしの中に当然在る景色だった。
東京では電車が動かなくなり、人々の足が止められてしまうほど厄介なものなのだけれど。

雪の日に傘を差すことはなく、わたしの背丈の倍ほどの雪の壁の間を歩く。
赤いヤッケの上下に赤い長靴、焦げ茶色の毛糸の帽子、
オレンジ色の手袋はスキー用の水の浸みて来ないもの。
学校から帰ると、長靴に赤いミニスキーを履いて遊びに出掛けた。
雪道で転んだりすることはなかった。
けれど今は、用心に用心を重ね歩幅を狭めちょこちょことおっかなびっくり歩くていたらくである。
大人になるって、都会に暮らすって、かっこ悪い。

春には桜色に染まり、夏には緑濃く、秋には紅く色付く樹々を眺め、冬には白く雪景色に包まれる。
日本の四季は美しく、それを堪能できれば生きる幸せと思う。

雪鏡。

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