熱を出したら『サザエさん』。

子供の頃から20代の終わりまで、わたしは月に一度は高熱を出す、
今思うとちょっと躰の弱い人だった。
熱を出して学校の遠足に行けなくて、お弁当を家で食べることも度々あったし、
熱が出たので友人との約束を断ることも、ぐったりとしたままタクシーを呼んで撮影に向かい、
ドリンク剤を飲んでその一日をやり過ごすことも頻繁にあることだった。
人はそんなに熱を出すものではないと知ったのは、30代になって少し丈夫になってからだ。

風邪をひいて寝込んだわたしに、
父は『よりぬき サザエさん』か『火の鳥』を買って来た。
そのふたつが父の考える「子供に読ませても良い漫画」だったのだろう。
そして、苺。
わたしが学校を休んだ日には、父は少し早く帰って来てくれていたのかも知れない。
仕事から戻ると、熱のせいでだるくて躰の痛いわたしの足や手をさすってくれた。
少し楽にしていられる日中に、父の見舞いの漫画を読んだ。
読み終えると最初に戻り読み返した。
巻が跳んでいることなど気にもしなかった。

体調がすぐれず安静にしている友に『よりぬき サザエさん』を届けるのは、
わたしの中では最も効果的なお見舞いとなっている。
調子の悪さによって冊数が変わる。
大人になってからは『ドラえもん』も良いと思っている。

ここ数年、週刊朝日の「サザエさん」は「ゆっくりと過ごす日の為の良いもの」である。

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