江ノ島へ。

良く晴れた日に、なかなか訪れる機会のなかった江ノ島へ行くことになった。
ひと月ほど前に、友人が海外からやって来たお友だちを江ノ島に案内したと写真を見せてくれた。
江ノ島かぁ、行く機会ないなぁ、とその時は思った。
今度の休みにどこへ行こうか、と友と相談をした。
友が挙げてくれた候補の中に江ノ島があった。
お互いにほぼ初めてで天気が良くて気持ち良さそうだから、と行き先を決めた。

中学校を卒業する時、それぞれのクラスで卒業の記念になる計画を、
生徒たちから教師に提案することになった。
いくつかの提案から多数決でわたしたちのクラスは夜のバスツアーに決定した。
深夜の東京を観光バスで走る。
自宅で夕飯を終えてから学校に集まった。
そんな時間に親も教師も公認で出掛けるなんて、いつもと違う。
自分たちの出した結果を大人たちに認められたことが嬉しかったのだろうと思う。
もちろん、教師も同行した。
浅草の辺りを周った。
店が開いているわけでもなく、ただ夜を楽しむものだった。
そして最後に江ノ島から日の出を眺める。
よくもまあ、こんな計画にあの時の先生は付き合ってくれたものだ。
でもこれは穴だらけのわたしの記憶で、もしかしたら全然違うのかも知れない。
この間、中学校の同級生に会った時に聞いておきたかった。
次に会う時には忘れずに聞かなくては。
わたしの記憶は本当のことだろうか。
同級生はもっといろいろなことを覚えているのだろうか。

冬晴れの朝、そんな曖昧な記憶を話しながら電車に揺られて、
小さな旅を一緒に楽しむ友がいてくれることを幸せだなぁと思う。

竜宮城の駅、青い鳥居、邊津宮、おみくじはお財布の中に、弁天堂の弁財天様はとても美しい。
中津宮の色、不動明王様、奥津宮の八方を見渡す亀、龍の岩堂、富士山と鳶、
海に落ちる夕陽、島の猫、夜の提灯。
潮の香りと、静かな海と、眠る富士山をあとに、満足して家路に就く。

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