山の見える場所で。

山の見える場所へ赴く時、心がしんと静かに硬くなるように感じる。
海へ広がる景色を前に心が開かれる時とは違い、躰がきゅっとなる。

気温の低い午前中には雪が飛ぶ。
昼を過ぎると空の色と樹の幹の色が濃く映る。
様々な大きさの落ち葉や木の実、屋根から風に吹かれて舞い落ちる朝の雪、鳥の鳴く声、獣の跡、寒さに鳴る樹々。
自然と人の暮らしの折り合う場所。
東京へ戻っても、心と躰の1/3程を置いて来ているような感覚は懐かしさに似ている。

幼い頃に雪の深い土地で育ったからだろう、冬への想いと夏への憧れが強い。
山を見ても海を見ても、その近くで暮らしたいという矛盾に揺れる。

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