2月のこと。

友のお店に飾られたチューリップは、抱き締めたくなるような愛らしさだった。
毎週金曜日に活け変えられる様々な色の瑞々しい花。
知り合って10数年、彼の選ぶ目には「なるほど、さすが」と思わずにはいられない。
愛らしく、かつシックで、美しい。

こんな大皿でお正月を過ごしたい。

ふたりの友と過ごす夜は、眠くなるまで一緒にいたいと思ってしまう。
電車のあるうちに名残り惜しく別れる。

友のお父上から「これ持って帰って」と渡された紙袋にチョコレートが入っていた。
なんだかとても嬉しかった。
この歳になっても、彼らには娘の頃のままだろうかとありがたい。

友より届いた小鳩豆楽。
日本の美しい心の形。

チューリップを見かけると、つい嬉しくなってしまうのは昭和の子供だったからだろうか。
中でも赤いチューリップには無条件に吸い寄せられてしまう。
幼い頃、赤いチューリップの絵ばかり描いていた時期があった。
画用紙の下の方に一列に赤いチューリップを描いた。

月は輝く。
わたしの帰り道を照らして。

日が長くなって来たなぁ、と思いながらバスを待つ。

良い夜だった。

朝焼けが美しくて。

日曜日の夕刻にお迎えが来た。
近くのスーパーの駐車場で待ち合わせた。
赤い車は暫く走ると高速道路に乗った。
行き先を知らないわたしは後部座席で「高速に乗っちゃったなぁ」とにやにやしていた。
運転席の友も振り返って「ミステリーツアーだね」と言ってにやりと笑った。
頭の中で Magical Mystery Tour が流れる。

友の「日本一のお風呂」へ向かっていた。
助手席から「お風呂は世界中にあるからね。テルマエロマエって知ってる?」
ものすごく緩い会話が続く。

着いたのは東京の端の山の上、木々の匂いで鼻の奥が痛い。
山の夜に川の流れる音が聞こえる。
そして寒い。

「行く?」
「行く」
急に決まったお風呂行きは良い気分転換になった。

渋谷駅は変態中。
どんどん変わって、どこにいるのかわからなくなる。

若い友に誘われて、高い所で食事をした。
息子のような年齢の若い俳優と歳の離れた妹のような女優のふたり。
ある時間を一緒に過ごしたからか、親戚の集まりのような気分である。
嬉しい。

もう変わることはないだろうと思っていた人間関係が理由もわからず、
ある日突然に消えることがある。
これからもずっとなんて考えずに過ごした時間の中で出会った人たちと、
結果としてとても大切な間柄になっていることもある。
どうやらこの先も、まだまだ楽しいことはありそうだ。

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