梅に舞う雪。

曇り空の寒い日だった。
このままずっと太陽は隠れたままで、永遠に冬が続くように思えたのは、
はっきりと冬の景色が現れないからなのだろうと後になってわかった。

普段あまり乗らない時間帯の電車に始発の駅から乗ったにも関わらず、
座れるものと思っていたが30分立ち通しだった。
通勤時間も過ぎているのに大した混雑で、ホームにもまだまだたくさん人が並んでいて、
東京は本当に人が多いと思う。

地図を見ると日比谷公園が近い。
寒いけれど少し散歩をするか。
いつ以来だろう、最後に来たのがいつだったか思い出せない。
暑い日の昼下がりに大きな噴水のある広場でベンチに座って鳩に餌を撒いた。
おそらく10代の記憶だ。

木の名前をちゃんと見れば良かった。
これはなんだろう。
拾って帰れば良かったな。

この辺りを歩くのは初めてだった。
雲形池の鶴の噴水が美しい。

突然満開の菜の花が現れて、どこかから切り取られた春をまだ冬の東京にポンと置いたようだった。
空からは雪が落ちて来た。

先ほどから降り始めた雪が強くなっていたけれど、積もるほどでもないだろう。
顔に当たるのが心地良くて、そのまま気にせずに歩いた。
白梅に雪が舞う様は良い。
冬らしい。

可愛い、可愛い、乙女椿。
何もかもが完璧な愛らしさ。

寒いのは嫌だ、嫌だ、と言いながら、冬を探していた。
友に手紙を書いた。
二泊三日で雪を見に、なんにもしない旅をしたいけれど、
この冬の間、彼女は長い仕事に掛かり切りで、旅は来年かその先まで取っておく。

春まであとひと月か。
冬が見たい、降り頻る雪が見たい、と思っている。

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