夜色。

友の家で猫が一心に窓の外を見上げているので、どれどれとわたしも庭に出てみる。

前日から天気予報や電車のアナウンスで、降るぞ降るぞと言われて朝からちょっと楽しみにしていた雪。
ちっとも降らないじゃないか、と少しがっかりしながら、でも約束があるので良かったか、
などと思っていたら、さて出掛けようという時刻になってひらひらと舞い始めた。
わたしには初雪だった。
バス停までの道を、傘にさらさらと落ちる雪の音を聞きながら歩いた。
この分だとじきに雨に変わるだろう。

バス停で、かわいいピンクのコートを着た双子の女の子たちの後ろに並んだ。
お姫様が家にふたりもいて、子供部屋にはお揃いのワンピースが並んで掛かっていて、
両の手にそれぞれと手を繋いで、夜寝る前には両頬にキスをされる、なんて素敵だ。
駅のホームで小さな男の子の双子がいた。
柵につかまって線路を見ていた。
電車のおもちゃも2台、小さな靴も2足、お父さんと三角形でキャッチボール、
おにぎりのお弁当もふたり分、頼もしい坊やに挟まれて肩を組む、これも素敵だ。

彼方に東京タワー。

夜の帰り道、ほんの少し残った雪。

お伽の国の時計塔のようだ。

三日月、枝に引っ掛かる。

三日月、空に放たれる。

不思議な形だ。

急いでいるようなので声は掛けない。

大勢の人が集中する場所は苦手だけれど、この場所から見下ろす新宿駅は悪くない。

チューリップを見ると、15年ほど以前に友の結婚式で訪れたアムステルダムを思い出す。
どこまでも続くチューリップ畑と点々と見える風車。
4月なのにとても寒くて、雨が降ったりもして、でも食事がとても旨かった。

少しずつ春が近付いている。

友が話していた。
若い頃は形の残らないものにお金を使うのが嫌だったけれど、
今は楽しく過ごす時間に使いたいと思う、と。
わたしはと言えば、若い頃と変わらない物欲だけれど、
納める場所のことを考えると諦めることが多くなった。
わたしの買い集めたものは、わたしよりも長く残るのだ。
わたしがいなくなった後、誰がどうそれらの行き先を決めてくれるのかと、
もはや考えは目の前の欲しいもののことばかりではなくなってしまう。
旨しものと友と過ごす時間に、正しいお金の使い方だと心から思う。
機嫌良く過ごした一週間。

LINEで送る
Pocket