抱き枕はもういらないから“抱かれ”枕がほしい。
マジックテープとかでぎゅぎゅっと留めて、前から後ろから、抱かれたい。抱きしめられたい。
そんな枕がほしい。

けれど、もうそれは、枕じゃないかもしれない。いや、はっきりさせておこう。

枕じゃ、ない。

しかし念の為、検索してみると「抱かれ枕」はすでに製品化されていた。
U字型磁石みたいな形のふかふか枕(?)にすっぽり包まれることで、肩や腕の負担を減らし、安心してリラックスできるという。

“まるで飛行機のファーストクラスの寝心地”

いや、そういうんじゃない! 私がほしいのは、

“まるで鈴木亮平にがっしり抱かれる西郷どんクラスの寝心地”

だ。そしてここでの「抱かれる」の読み方は「抱(いだ)かれる」でお願いできればと思う。雰囲気が出る。

本来なら、大好きな人に抱かれながら(←いだかれながら)眠りに就きたい。
何かしくじったり、悲しいことがあったら、ドラマみたいに誰かの胸に飛び込みたい。

が、私が今後10年20年それ以上の長期構想個人計画を想定するときに、それら実現する見込みはゼロないしは限りなくゼロに近い……そう残念ながら算定しかねない事態を認めざるを得ない。
が、我々は決して悲観してはいない。なぜなら、近い未来に必ずや手軽に誰もが抱きしめられる機会を得られるガイアの夜明けが来るに違いないと確信しているから。「てもみん」みたいな、「はぐみん」の出現を。5分1000円くらいで。1000円じゃ安いか。

でもホント、純粋にぎゅっとされたい。
これは何も、年がら年中、恋のこととかきゅんとすることばかりを考えているから、とかではなくって、誰にでもあるんじゃないかな。安心したい。って気持ち。かつての赤子みたいに包まれて。

ずいぶん前に何かのテレビで観たのだけれど、牛を落ち着かせるための「締め付け機」をじぶんもやってみたら落ち着いたというひとのお話。それをみて、あの機械に私も挟まれたいなと思った。交換神経が落ち着くのだそうだ。

けれど現状、難しい。
締め付け機を自作することはできないし、「抱かれ枕」の既成品は求める機能が異なる。

だからさっき、とりあえず辺りを見回して、ストールを手に取ってみた。
そして、じぶんの肩から背中にかけて大きめに包んで、ぎゅうっときつく締めてみた。ぎゅう。ぎゅうぅ……安心した。落ち着いた。なんだかとてもひさかたぶりに感じる感覚だった。日々、昂ぶっているひとにもおすすめしたい。

さらに試してみたけど腰痛ベルトはもっと良かった。これで人肌ほどに温かかったらパーフェクトだ。
「あずきのチカラ」の会社さんあたりが開発・商品化してくれないか。目もと用・首肩用・おなか用につづく、

“レンジでチンして繰り返し意中のひとから突然背中越しにキツく抱きしめられる感覚!”
「あずきのチカラ〜もうキミを離さない〜用」

 

 

 

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PROFILE執筆者プロフィール

大島智衣

エッセイスト・脚本家/おもに恋と'じーん'について ✐エッセイ『男子発言ノート』『好きにならずにいられてよかった』他 ✐脚本協力『獣道』内田英治監督 ✐脚本『花の名前』利重剛監督、BOYS AND MEN『キスのカタチ』/放課後の再放送ドラマ育ち。実家暮らし独身。おいしそうに食べます。