男の人と歩いていて雨が降ってくると「まいったなぁ」と思ってしまう。

内心でドキドキしているのだ。その人と“相合傘”になるのを。「恋でも始まるんじゃないか」と勝手に。

何も迷うことはない。「どうぞ」と傘を差し出せばいい。

だけど、「そんな美人さんやカワイイ子がやったらウケること、私なんかがムリムリ! キャラじゃないよー。どうする!?」とウザ過ぎる自尊心が邪魔をして、勝手にまいってしまう。

ブレブレなのだ、自尊心が。高過ぎるのだ、自意識が。

思わず異性と接近したり、女子らしい言動をするのが素敵よね、とされる場面で、「私なんかがスミマセン!! でも私だって……」とごにょごにょウダウダ考えだし、「モテたいし愛されたい!」けど「男ウケを狙って媚びたり、男性の好みに合わせて自分らしさやこだわりを捨てるのは、くやしい!」と地団駄を踏んで、“モテ”と“自分らしさ”の折り合いが着かず、プライドが低いんだか高いんだか分からない、自意識強めな反応をしてしまう。

―これが、脱したいのに脱せない“自意識高い系・自尊心ブレブレ女子”の特徴といえましょう。(大島調べ)

この突然の雨降りの場合、二人とも傘を持っていれば問題はない。それぞれに傘をさせばいいだけの話だ。

「まいったなぁ」となるのは、片方しか持っていない時で—。

私は、年間を通して結構な割合で傘を持っている。紫外線を気にし、曇りの日でも日傘を差すため晴雨兼用の折りたたみ傘を常用している。だから急に雨が降ってもだいたい大丈夫!

なので、雨が降りだすとまず、相手の動向をうかがってしまう。この人は傘を持っているのか? いないのか? ……ええいッどっちだ!?

「傘、持ってますか?」
意を決してそう訊くとだいたい男性は、

「や、持ってないけど、すぐそこまでだし」
と、雨をものともせずズンズン歩いてゆく。

こんな人もいた。
「いやむしろ、濡れるくらいが丁度いいんだ」

いやいやいや! 私は傘を差したいんだよ! My晴雨兼用の折りたたみ傘を!
なんならアナタと恋が始まったっていいと思ってるんだ、本当は!!!

なんて、呼び止められるわけもなく……差せない。

だって、自分だけ差すわけにはいかないじゃないか。そこまでNo傘, Noライフを貫けない。だから、差すならば自分の傘を広げ、

「どうぞ」

と相合傘を自ら誘導しなければならなくなる。

しかしそこで、「や、そんな美人やカワイイ女の子がやったらウケること、私なんかがおいそれとできないよー! だし、メッチャ相手と近づいちゃって意識してると思われるんじゃ? できないよーそんな“恋が始まる瞬間”っぽいこと!!!」

……と、まいってしまうという寸法。

だから、男の人と歩いていて雨が降ってくると、“自意識高い系・自尊心ブレブレ女子”はビショビショになる。

ちなみに。おとなしく傘に入ってくれる男性もいるけれど、だいたいが私より身長が高い。……ので、

気づいて! 私の腕、今ピーンって伸び切ってんの! この体勢ツラいのっ! お願いだから傘持つの替わって!!!

ってなる。だけど、そんな心の悲鳴が届くわけもなく。結果、あまりうまく差せてなくて、ビショビショになる。二人揃って。

でもそれでさ、二人して雨宿りして、暖を取ってるうちに恋が生まれる……なんて展開になるなら別だけど!
じゃなければ、それで風邪引いて寝込んで、彼が見舞いに来てくれて恋が生まれる……なんてオチになれば別だけど!
♪傘がな〜いわけじゃ〜ないけ〜れど(日野美歌『氷雨』/作詞作曲:とまりれん)!!!

ただ、ただ、ビショビショになって、お終い。
こうなったら、折りたたみ傘をいつも二本持っているしかない。……のかな?

LINEで送る
Pocket







PROFILE執筆者プロフィール

大島智衣

エッセイスト・脚本家/おもに恋と'じーん'について ✐エッセイ『男子発言ノート』『好きにならずにいられてよかった』他 ✐脚本協力『獣道』内田英治監督 ✐脚本『花の名前』利重剛監督、BOYS AND MEN『キスのカタチ』/放課後の再放送ドラマ育ち。実家暮らし独身。おいしそうに食べます。