ある日、ひじをつくと「痛っ!」となったので袖をまくって見てみると、
「なんだこれは……?」
両ひじとも擦り剥けた感じに赤くなっていた。

「あ、もしかして。いや、まさか!?」
思い当たることが一つだけあった。

その前夜、ひさしぶりにお気に入りの男性と飲みに行き、私ってばずっと
「へぇ~」「うふふふふ」「はぁ~イイですねぇ~」
とか、ひたすらやったのだ。頬杖ついたり、ひじをつきながら!

そう、ひさしぶりの楽しい時間に、ひじをテーブルにつきすぎて、擦り剥けたのだった。

自損事故!

どんだけ柔らかくなっちゃってたのさ、私のひじ。
どんだけひじをつかない非女子生活を送ってたの、私。
で、どんだけ彼のこと好きなのよ私!

あまりにもデートっぽい楽しみのない日々が続いたものだから……
→頬杖もひじもつかない
→ひじの角質が軟化
→ひさしぶりのデートでガッつきすぎて、終始前かがみ!
→長時間に及ぶひじへの負担!!
→ひじ、崩壊&炸裂!!!

もう、ロスト・セカンド・ひじ・ヴァージン!!!

……よく分からないけど、そんな感じで痛いやら甘酸っぱいやら。

それからしばらくの間、かさぶた化したその傷をまるで彼氏に付けられたキスマークかのように愛おしみ、やがて剥けて(剥いて)消えてなくなるまで眺めた。

で、その後彼とはどうなったかというと―
アノ夜、終電ダッシュしてさっさと帰っていく彼の後ろ姿を見たのが最後。

ピュアな私のひじをこんなメチャクチャにしといて一体どうしてくれるの!?!?!?

世間のモテ女子猛者たちは皆んな、さぞかしひじカッチカチなんだろうな。
わたしもゾウの皮膚みたいなひじの女になりたい。
面の皮だけじゃなくて、ひじの皮も厚くなりたい。

でも、やわやわスベスベなままのオトメひじも、それはそれでいいんじゃない?

……って今、ひじ見たらカッサカサだった! かかとは望んでもいないのにカッチカチ。なんか塗ろう。

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PROFILE執筆者プロフィール

大島智衣

エッセイスト・脚本家/おもに恋と'じーん'について ✐エッセイ『男子発言ノート』『好きにならずにいられてよかった』他 ✐脚本協力『獣道』内田英治監督 ✐脚本『花の名前』利重剛監督、BOYS AND MEN『キスのカタチ』/放課後の再放送ドラマ育ち。実家暮らし独身。おいしそうに食べます。