『セブンルール』に出たかった人生 −大島智衣の「oh! しまった!!」第13回




無駄によく考えたものだ。

『笑っていいとも!』のテレフォンショッキングに出たら、次に誰を紹介しよう?
『SMAP×SMAP』の「ビストロスマップ」に出たら何をオーダーする? やっぱりひき肉料理?
「食わず嫌い王決定戦」だったら、嫌いなものはネギとして、あとの好物は何をセレクトしよう? でもネギ、うまく食べられるかな?

……とかね。芸能人でもないのに!

だけど、2014年に『笑っていいとも!』は終わり、2016年SMAP解散と共にスマスマも終了。『とんねるずのみなさんのおかげでした』も、もうすぐ3月には終わるという。

間に合わなかった……。私が芸能人になる前に軒並み番組が終了してしまった。

残るチャンスは『セブンルール』だけだ。

今を素敵に生きる輝いた女性たちが登場する密着ドキュメンタリー番組『セブンルール』は、毎回、彼女たちの“7つのルール”が紹介され、合間にYOUと本谷有希子とオードリー若林、そして俳優の青木崇高のスタジオトークが挟まってくる。

紹介されるルールたちは、
「仕事前に車のエンジン音を聴く」(チーズ職人 古株つや子)
「“ヤバイ”と思ったら逃げる」(ダンサー 菅原小春)
「待ち時間は壁によりかかる」(アイドル 齋藤飛鳥)
……などといった、ジンクスだったり教訓だったり習慣など、など。視聴者はそれらから、毎日を素敵に輝いて生きるヒントを見出す。

眩しかったり、感心したり、モヤっとしたり(?)。それぞれに興味深いルールたちと、キラキラした彼女たちのライフスタイルに目が釘付けだ。
YOUたちが繰り広げる、決して彼女たちを持ち上げるだけではないトークも面白い。
誰だかわからない朴訥な声の男子による、たどたどしいナレーションもとても好きだ。(調べたらロックバンドのボーカルの方だそうで、そのバンドも知らなかったのだけれど、「コレ多分カッコいい感じの素敵男子なのに違いない! 危険。好きになる以外なさそう。絶対に手が届かないのに! 深掘りはヤメよう」……とそれ以上の素性は敢えて知らないままでいる。)

とにかく、毎回予約録画して、楽しみに観ている。

そんな、絶賛放映中の『セブンルール』ならまだ間に合うかもしれない。
密着されたそのときのために、7つのルールを予め考えておきたい。

1.走らない
焦るのが苦手だという彼女は(番組ナレーション風)、すぐ先の横断歩道の信号が点滅し始めても、決して走ったりしない。焦って消耗する気持ちが、走ることで短縮できた時間よりも、惜しいのだと云う。ただし、「人との約束に遅れそうなときは例外」だそうだ。

2.毎朝、裏路地を通って野良猫に挨拶する
毎朝の通勤路、わざわざ遠回りしてでも野良猫に会いに行く。それが彼女の日課。猫の姿が見えない日は、少しさびしそうだ。

3.デスクで食事はとらない
ONとOFFは切り替える。それが彼女の流儀。(→〈2〉むかしむかしあるところに馬鈴薯姫 -大島智衣の「oh! しまった!!」

4.食べたい時に、食べたいものを、食べる
人生において何度となくダイエットを試みては失敗してきた彼女。昨年、愛猫を失くした喪失感と自責の念から、ほぼ食事を摂らない日々が続いた。少しばかり痩せ、「ダイエットにもなるし、いっか」と思っていたが、次第に、力が入らず何も考えられなくなり、気づくと夜な夜な松重豊主演ドラマ『孤独のグルメ』の食事シーンだけを観るようになっていた。「これではいけない」とハッとした彼女は以来、食べたい時に、食べたいものを、食べる。を心掛けている。多少太っても関係ない。……多少?

5.その人と一緒にいるところを想像して「ぐふっ」となったら恋
恋とは想像力。恋とは期待。

6.「死ねばいいのに」心の中でそうつぶやいたら、その恋は終わり
期待が適わなかったとき、恋心は憎しみに変わる。勝手に恋をして、勝手に期待する。勝手に傷つき、勝手に恨む。身勝手な恋は、自由だからこそ、引き際も肝心。

7.1日の終わりにアイスがおいしければ、それでいい
どんなに疲れた日でも。さんざん気を遣って、愛想笑いして、相槌を打ちまくったけど、じぶんの気持ちなんて一つも話さ(せ)なかった日でも。1日の終わりに食べるアイスがおいしければ、それでじゅうぶん。「救われた気持ちになれる」と彼女は笑う。ちなみに、ポテトチップスでも大いに可。

……これらが彼女のセブンルール。今日もおいしそうに何かを頬張っている。

これ……“輝いてる”?

こんなんで出演オファーが来るだろうか?
登場するのは芸能人に限られていないから出演資格はあるにしても……あゝどうか、番組が続いているうちに私もあからさまに輝けますように!

それか、こんな姉妹番組ができないものか。スピンオフでもいい。
輝かずにくすんでくすぶっているかもしれない女子が、日々葛藤しながらもひたむきに生きる様子を描き、そのくすぶりの由縁を紐解く『セブンルーツ』。
本家セブンルールは“憧れ”を扇動するが、セブンルーツは多くの“共感”を呼ぶに違いない。

私のルーツ1はこれで決まりだ。

1.脂肪ももはや、私という人格の一部

コンプレックスも手厚く自己肯定して払拭するのが彼女のルーツ。
「ダイエットとは程遠いくすぶりを結果招いているけど、誰しもじぶんのすべてを受容して、たいせつに思って生きたっていいじゃない。それが、たとえ脂肪だとしても」そう云って彼女は、厚く頼もしい二の腕の肉を掴んでみせた。

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PROFILE執筆者プロフィール

大島智衣

エッセイスト・脚本家/おもに恋と'じーん'について ✐エッセイ『男子発言ノート』『好きにならずにいられてよかった』他 ✐脚本協力『獣道』内田英治監督 ✐脚本『花の名前』利重剛監督、BOYS AND MEN『キスのカタチ』/放課後の再放送ドラマ育ち。実家暮らし独身。おいしそうに食べます。