京都~博多間、新幹線にて考えたこと|相原くんの「これ、読んでみる?」63


紹介本:『朝日のようにさわやかに』(著者:川本三郎 1977年刊行)

大切な友人である、俳優の高橋和也さんと話していて、彼がどんな綺麗で素敵な女優さんと会った、話した、飲んだということを聞いても、全然羨ましいなんて思わないが(いや、本当は瞬間、思っちゃっているかもしれないけれど)、たった一人、その人と一緒に飲んだことがある、と聞いた時、声に出して「本当?羨ましい!!!」と言った人がいる。作家の井上ひさし氏である。井上ひさし氏と飲んで、本や映画のお話をすごくしたかった。高橋和也さんが羨ましい!その数年後、その話を、現在こまつ座の代表で、お嬢さんの井上麻矢さんに伝えたところ、「それは、すごく嬉しいお話ですね!」と仰って、私に自動販売機で“オロナミンC”を買ってきてくださったことがあった(笑)。
その井上ひさし氏のすばらしい序文が、「映画ランダムノート」とサブタイトルにある川本三郎氏の著作『朝日のようにさわやかに』にある。

先日、京都で仕事を終え、そこから新幹線で博多に向かう車中でこの本を再読しようとした。しかし、もう何度も読んでいる序文を読むと、様々な想い、考えが頭の中を走り出して止まらない。刺激的で、想像力を湧き立たせる名文の中の名文なのである。
《序文「かたよっている」について ここにあるこの一巻は川本三郎氏の映画、およそその周辺のことに関するかたよった見方、考え方の集積であるが、(中略)どうかあなたのかたよった見方、考え方を川本三郎氏のそれと衝突させ、知的興奮を味わっていただきたい。最後にひとつ念を押すと<かたよっている>は<個性的>とけっして同義ではない。もっと無邪気で自由なもので、それはある。》(本書、序文より抜粋)

この井上ひさし氏の素晴らしい序文も、俳優の菅原文太氏の推薦文も、あえて「評論集」とせず、「映画ランダムノート」とした本文も、川本三郎氏の『マイ・バック・ページ』と合わせて読んで欲しい。
博多に着くまでの間、本を閉じ、この本をくれた亡くなったラジオディレクターと、『カタヨリ荘』の一人ひとりのことを想っていた。

2019.03.17
  相原 透










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相原透

相原 透(アイハラ トオル) 東京生まれ。20余年、都内書店勤務。その後、出版社に転職。 週刊朝日、IN・POCKET(講談社)、銀座百点、公募ガイド 等  雑誌に書評、著者取材・原稿、寄稿多数。 講談社文庫『光二郎 分解日記 相棒は浪人生』(著者:大山淳子 2017年刊行)の解説を書く。 『カタヨリ荘』の住人になれて嬉しくて仕方がない毎日。 好きな作家:池澤夏樹、沢木耕太郎、桜木紫乃、伊吹有喜、大山淳子、柚月裕子