憧れと尊敬の人、宮田毬栄さん|相原くんの「これ、読んでみる?」56


紹介本:『追憶の作家たち』(著者:宮田毬栄 2004年刊行)

飛行機嫌いの私が、広島へ行くため生まれて初めて飛行機に乗ったのが、今から10年ほど前。実は今でも怖くて、可能な限り新幹線にしている。
はじめて乗った飛行機の隣に座られたのが、宮田毬栄さん。宮田さんの編集された本を読み続けて、宮田さんがいなかったら刊行されなかったであろう本のことを思うと、感謝の気持ちでいっぱいで、出版人として憧れと尊敬の人であった。
故・久世光彦氏のテキストの朗読と選曲を歌う舞台があり、私はそこで本の物販を、宮田さんは、朗読をする小泉今日子さんと対談するため広島へ向かっていた。企画を立てたプロデューサーが、私と宮田さんを並べて席をとってくださったのだと思う。

父上が詩人の大木惇夫氏、姉の康栄さんは北九州市立松本清張記念館館長、妹は俳人の大木あまりさん、宮田毬栄さんの息子さん・浩介氏は詩人である。
『追憶の作家たち』は、宮田さんが回想する7人の作家(松本清張、西城八十、埴谷雄高、島尾敏雄、石川淳、大岡昇平、日野啓三)の実像が綴られている。
《死してもなお私に語りかける七人の作家の追憶を書いた。その時々の時間が濃密に甦って、私を幸せな気分にしたり、息苦しくもさせた。(中略)その間近で生きてきた私自身の半生を振り返ることでもあった》(「あとがき」より)

私は「はじめまして」の挨拶の後、『追憶の作家たち』の感想、ここに書かれていない作家たち、野坂昭如氏、中上健次氏、阿佐田哲也氏、久世光彦氏…のお話を聞かせていただいた。あの小説の背景にはそんなことがあったのか!作家の深さ、そして嫉妬。魅力的で、刺激的な話題ばかり。あっという間の時間であった。
離陸の時「初めての飛行機はどうでしたか?」と宮田さん。
「はい、お話の魅力で、飛行機の恐怖から逃れられました」と私は答えた。
今でも、手紙のやり取りや、食事をご一緒していただく。
頑張って飛行機に乗って良かった、と今でも思っている。










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相原透

相原 透(アイハラ トオル) 東京生まれ。20余年、都内書店勤務。その後、出版社に転職。 週刊朝日、IN・POCKET(講談社)、銀座百点、公募ガイド 等  雑誌に書評、著者取材・原稿、寄稿多数。 講談社文庫『光二郎 分解日記 相棒は浪人生』(著者:大山淳子 2017年刊行)の解説を書く。 『カタヨリ荘』の住人になれて嬉しくて仕方がない毎日。 好きな作家:池澤夏樹、沢木耕太郎、桜木紫乃、伊吹有喜、大山淳子、柚月裕子