俳優・高橋和也さんとふたりだけの忘年会|相原くんの「これ、読んでみる?」55


紹介本:『前略 おふくろ様』(著者:倉本聰 1983年刊行)

大切な友人である、俳優・高橋和也さんと恒例の忘年会をした。
ふたりだけで「今年もお互い頑張った」と褒め合いながら、笑いながら、酒を吞む。
今年は午後の早い時間から、高橋家に寄せてもらい、高橋さんの奥さんの手料理、カキ鍋、私が持参したお寿司と焼鳥、冷たいビールで乾杯した。
彼とは、出会って20年になる。「今年は本当に忙しかった!ぶっちぎれるくらい頑張ったよ!」と毎年のように(笑)話している。BGМは萩原健一さんの『熱狂雷舞』『萩原健一の世界』。聴きながら、酒はぐいぐいすすむ。
『前略 おふくろ様』はふたりとも最も好きなドラマだ。

1983年、理論社から“倉本聰コレクション1”としてこの脚本集は刊行された。
当時としては珍しい脚本集の刊行。私は表参道のクレヨンハウスでこの本を買った。何度も読み返しているので、ボロボロになっている。
ドラマもお互い台詞を記憶しているほど観ているので、好きな場面を交互に話す。
「サブちゃんに会いたいな」「ショーケンの演技力、すごいね」「かすみちゃん、可愛いな」「半妻さん(室田日出夫さん)、利夫さん(川谷拓三さん)シビれるね!」「海ちゃん(桃井かおりさん)ぶっ飛んでるね」高橋さんが用意してくれた日本酒の一升瓶が空になった。話がとまらない。毎年のことである。

『前略 おふくろ様』は、大人が大人として厳しさと優しさを持っていて、若い奴はただただ一生懸命で、真っすぐに社会や目上の者にぶつかっていった時代。ひたむきで、滑稽で、愛おしく、情けなく、血の通った登場人物一人ひとりが描かれている。
高橋さんも、私もこれからもこのドラマの話、繰り返し、話していくことだろう。

真夜中、「それじゃ、帰ります」と言って、奥さんにお礼を言い、私は高橋家を出た。
しばらく歩いてから、そっと振り向くと、笑顔の高橋さんが手を挙げてくれた。










ABOUTこの記事をかいた人

カタヨリ荘

相原 透(アイハラ トオル) 東京生まれ。20余年、都内書店勤務。その後、出版社に転職。 週刊朝日、IN・POCKET(講談社)、銀座百点、公募ガイド 等  雑誌に書評、著者取材・原稿、寄稿多数。 講談社文庫『光二郎 分解日記 相棒は浪人生』(著者:大山淳子 2017年刊行)の解説を書く。 『カタヨリ荘』の住人になれて嬉しくて仕方がない毎日。 好きな作家:池澤夏樹、沢木耕太郎、桜木紫乃、伊吹有喜、大山淳子、柚月裕子