その言葉を受け入れられるか、どうか…|相原くんの「これ、読んでみる?」53

紹介本:『10歳の君に贈る、心を強くする26の言葉』(著者:岩村太郎 2018年刊行)

装丁家・イラストレーターのY氏から、本が送られてきた。26の言葉を、10歳、だから小学校3年生が読んでもわかるように、漢字にはルビがふってあり、わかりやすく、その言葉の意味を説明している本だった。これがとても面白く、勉強になるのだ。
哲学者を中心に書かれているので、「倫理社会」の授業を思い出しながら読んでいった。
「無知の知」(ソクラテス)、「劣等感を友達にしろ」(アルフレッド・アドラー)、「人間は感情の生き物」(バールーフ・デ・スピノザ)等々。
大人が読んでも、いや大人だからこそ読んでみると、日常の中で疑問に感じること、納得できないことの答え、もしくは答えにたどり着くヒントがそこにある。

今、出版業界では、小説が売れない。雑誌も売れない。売れるのは実用書(料理・収納・ 健康書…)、そして自己啓発書である。悩みが多く、答えを探している人が多いのかもしれない。
自己啓発書で、ベストセラーになっている本、そうでない本も共通しているのは「そこに書かれてある著者の言葉を、読者が受け入れることができるか」が、すべてということだ。
シンプルな26の言葉を見た瞬間、「ちょっと説明文、読んでみようかな」と思う人と、通り過ぎてしまう人、そこでも現在の精神状態が計れるような気もする。
「ニーチェの言葉」「松下幸之助の言葉」の隣に、この本が置かれ、多くの人が手に取り、読んでほしいと思った。










ABOUTこの記事をかいた人

カタヨリ荘

相原 透(アイハラ トオル) 東京生まれ。20余年、都内書店勤務。その後、出版社に転職。 週刊朝日、IN・POCKET(講談社)、銀座百点、公募ガイド 等  雑誌に書評、著者取材・原稿、寄稿多数。 講談社文庫『光二郎 分解日記 相棒は浪人生』(著者:大山淳子 2017年刊行)の解説を書く。 『カタヨリ荘』の住人になれて嬉しくて仕方がない毎日。 好きな作家:池澤夏樹、沢木耕太郎、桜木紫乃、伊吹有喜、大山淳子、柚月裕子