古川誠さんの最新刊、アパートに住む10人の物語|相原くんの「これ、読んでみる?」㊿


紹介本:『ハイツひなげし』(著者:古川誠 2018年刊行)

「はい、古川さんと話して」そう言って女将さんは自分のケータイを私に渡してきた。
「もしもし、古川さん?さっき京都に着いて、紹介していただいたお店で飲んでいます。料理もとても美味しいです。ありがとう!」

古川さんは誠実な人柄で、仕事は出版社の統括編集長。『りんどう珈琲』という小説で作家デビュー(私は西国分寺の喫茶店で、この小説を購入した)、『ハイツひなげし』は待望の2作目だ。東京郊外にある「ハイツひなげし」というアパートに住む住人たちの物語。部屋は10室。遊園地のヒーローショーで、ヒーロー戦隊の“ブルー”を演じる40代の男・小田島さんが主人公。それぞれの住人が見る小田島さんが物語の主軸となる10人の物語。
人にはそれぞれの人生があって、日々が過ぎていく。いいことばかりじゃない。それでも人は毎日を暮らしていく。こういう小説が読みたかった、いや、この小説を読んで、こういう小説を求めていた自分を確認した。『ハイツひなげし』に登場する人たちの書かれていない日々を想像してしまう。元気出して!俺も頑張るから、頑張って!たまには休みながら、美味しいごはん食べてさ、旨い酒飲んでさ、俺が見ているから…なんて思いながら、小説を読み続けた。

古川さんの紹介してくれた京都の酒場は、女将さんが感じの良い、料理も、お酒も美味しいお店だった。「いつか、一緒に、このお店で飲みましょう!」そう言って、私は女将さんにケータイを返した。










ABOUTこの記事をかいた人

カタヨリ荘

相原 透(アイハラ トオル) 東京生まれ。20余年、都内書店勤務。その後、出版社に転職。 週刊朝日、IN・POCKET(講談社)、銀座百点、公募ガイド 等  雑誌に書評、著者取材・原稿、寄稿多数。 講談社文庫『光二郎 分解日記 相棒は浪人生』(著者:大山淳子 2017年刊行)の解説を書く。 『カタヨリ荘』の住人になれて嬉しくて仕方がない毎日。 好きな作家:池澤夏樹、沢木耕太郎、桜木紫乃、伊吹有喜、大山淳子、柚月裕子