小説も、ドラマも素晴らしい|相原くんの「これ、読んでみる?」㊻


紹介本:『センセイの鞄』(著者:川上弘美 2001年刊行)

川上弘美さんの傑作。色褪せることのない作品である。
2001年、刊行してすぐ、最初の数行読んで、直感で購入。小説の物語が、言葉が心に降ってくるようだった。
読み終わると、ひとりの脚本家の顔が浮かんだ。筒井ともみさんである。
筒井さんとは、まもなく30年のつき合いになる。
「面白い、魅力的な小説があったら教えて」「〇〇さん(女優さんの名前)の企画があるの、何か合う原作ある?」「面白い翻訳本があったら送ってほしいの」
本のセレクトについて、信頼してもらっているのか、時々連絡があるのだ。
「久々に、筒井さんに脚本書いてほしい小説に会いました」という手紙とともに、『センセイの鞄』を送った。後日、電話がきて「あなたらしい、素敵で、地味な作品ね。登場人物が少ない。いい小説だけど・・・どこの局でやってくれるのよ?」と筒井さん。
「NHKか、テレビ東京かな?」と私。「無理じゃない? まあ、考えてみるわね」とさっさと電話は切られた(笑)
その後、しばらく映画化、ドラマ化の企画は立っては消えたそうだ。
しかし、2002年の筒井さんからの年賀状に、「久世さんで、センセイの鞄、やるかも!」と達筆すぎて読めない字が書いてあった。
演出家の久世光彦氏が、小説にほれ込み、川上弘美さんも「久世さんでしたら、喜んで!」ということで企画が進んだらしい。
2003年、WOWOWでドラマ化、主演:小泉今日子、脚本:筒井ともみ。
2004年には、地上波、フジテレビの特別企画として放映され、ギャラクシー賞選奨はじめ、評価も高い作品であった。
小説も、ドラマも素晴らしかった作品である。

筒井さんとは、酒場で飲み、手作りの美味しいお料理をご馳走になり、本や映画の話をし・・・筒井さんとの軌跡は、一冊のエッセイ集が書けるほどだ(笑)
もうすぐ、筒井ともみさん企画・原作・脚本、小泉今日子さん主演の映画『食べる女』が公開になる。これは、映画館へ行かなくてはいけない。










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カタヨリ荘

相原 透(アイハラ トオル) 東京生まれ。20余年、都内書店勤務。その後、出版社に転職。 週刊朝日、IN・POCKET(講談社)、銀座百点、公募ガイド 等  雑誌に書評、著者取材・原稿、寄稿多数。 講談社文庫『光二郎 分解日記 相棒は浪人生』(著者:大山淳子 2017年刊行)の解説を書く。 『カタヨリ荘』の住人になれて嬉しくて仕方がない毎日。 好きな作家:池澤夏樹、沢木耕太郎、桜木紫乃、伊吹有喜、大山淳子、柚月裕子