心が騒ぐ、脚本家 坂元裕二|相原くんの「これ、読んでみる?」㊶

紹介本:『往復書簡 初恋と不倫』(著者:坂元裕二 リトルモア 2017年刊行)

坂元裕二さんという脚本家が気になり始めたのは、いつからだろう。最も古い記憶は、20年以上前、作家の中上健次氏と坂元裕二さんの雑誌での対談だ。私は、その雑誌を半蔵門の書店で立ち読みをしていた。夢中で読んでいた自分をはっきりと覚えている。
中上氏が坂元さんに「俺は、おまえに期待しているんだ」と語っていた。
私は、どんな気持ちでその対談を読んでいたのだろうか? “あの中上健次氏が期待している脚本家”として、憧れと嫉妬と言葉にできない感情がそこにあったと思う。
『わたしたちの教科書』(2007年)を見ていて、何なんだ?この奇妙な違和感は?
でも・・・どんどん物語に引き込まれていくと感じ、坂元さんの脚本作品が気になり始めた。そして『Mother』(2010年)以降、「脚本・坂元裕二」ならば必ず観たいとなっていた。

坂元裕二さんが昨年刊行した本『往復書簡 初恋と不倫』は、男女のメールのやりとりで構成された物語。往復書簡といえば、宮本輝氏の『錦繍』や、会話(インタビュー形式)のみで書かれている沢木耕太郎氏の『流星ひとつ』等、傑作があるが、この本も、同様に、すでに何十回と繰り返し読んでいる。
小泉今日子さんの帯の文章《ぞわぞわ胸が痛くて気がおかしくなりそう》(一部抜粋)
も、最高に冴えている。

「カタヨリ荘」の住人、魅力的なエッセイを書き続けている大島さん、素敵な写真と文章で日常を描く優恵さんに読んでほしい、そしてこの本の物語について話したいな、と思った。

坂元裕二さんは、『anone』(2018年)以後、しばらく連続ドラマはお休みするそうだ。
いつか、また書き始めるまで・・・待っています。










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カタヨリ荘

相原 透(アイハラ トオル) 東京生まれ。20余年、都内書店勤務。その後、出版社に転職。 週刊朝日、IN・POCKET(講談社)、銀座百点、公募ガイド 等  雑誌に書評、著者取材・原稿、寄稿多数。 講談社文庫『光二郎 分解日記 相棒は浪人生』(著者:大山淳子 2017年刊行)の解説を書く。 『カタヨリ荘』の住人になれて嬉しくて仕方がない毎日。 好きな作家:池澤夏樹、沢木耕太郎、桜木紫乃、伊吹有喜、大山淳子、柚月裕子