『ゾンビーズ、冴えない中年、小説を読む自分』

紹介本:『フライ、ダディ、フライ』(著者:金城一紀 角川文庫 2009年刊行)

2000年に直木賞受賞、その後、映画化もされ大ヒットとなった小説『GO』の著者、金城一紀氏の登場は鮮やかであった。作家にありがちな内向的で、閉じた性格には遠く、映画や音楽を好む若き作家の登場であったと記憶している。
『GO』以上に好きな金城作品が、オチコボレ高校生集団「ザ・ゾンビーズ」が活躍するシリーズで、特に冴えない中年の男との友情を描いた『フライ、ダディ、フライ』は傑作である。(後に、この小説も金城氏自身の脚本で、映画化されている)
刊行時(単行本刊行は、2003年)、読者である私は、100%自分はゾンビーズ側の気持ちでこの本を読んでいた。「頑張れ!負けるな!冴えない中年!」と。
しかし、もうとっくに、この冴えない中年の年齢を越えてしまっているのが、現在の自分だ。再読していると、100%中年男に感情移入している。
ゾンビーズが指導する猛特訓に今の私は耐えられるだろうか?
必死になって耐えて越えてみたいな・・・無理かな?
痛快で、真剣な物語『フライ、ダディ、フライ』。
未読の方は、ぜひ手に取ってもらいたい一冊。










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相原 透

相原 透(アイハラ トオル) 東京生まれ。20余年、都内書店勤務。その後、出版社に転職。 週刊朝日、IN・POCKET(講談社)、銀座百点、公募ガイド 等  雑誌に書評、著者取材・原稿、寄稿多数。 講談社文庫『光二郎 分解日記 相棒は浪人生』(著者:大山淳子 2017年刊行)の解説を書く。 『カタヨリ荘』の住人になれて嬉しくて仕方がない毎日。 好きな作家:池澤夏樹、沢木耕太郎、桜木紫乃、伊吹有喜、大山淳子、柚月裕子