『ボクシング、バンタム級、一枚のサイン色紙』

紹介本:『黄金のバンタムを破った男』
(著者:百田尚樹 PHP文芸文庫 2012年刊行)

私には、サインが欲しいという感覚がない。どんなに好きな作家と取材でも、偶然でも
幸運に会うことができたとしてもその人のサインが欲しいとは思わない。
そんな私の本棚に一枚、サイン色紙が飾ってある。本書、『黄金のバンタムを破った男』の編集者が、この本を応援してくれたお礼にと、プレゼントしてくれたサイン色紙だ。
「根性 ファイティング原田」と書かれてある。今の時代、誰も書かないであろう、「根性」という文字。しかし元ボクサー、日本人初の世界チャンピオン、そして史上最強と言われていたバンタム級での二階級制覇のファイティング原田氏の「根性」であれば、
嬉しさだけである。私はありがたく、いただいた。

本書は1960年代、原田を中心に、ボクシングの熱い時代を描いた傑作ノンフィクション。敗戦から立ち上がろうとする時代の熱とともに、原田とライバルたち、バンタム級チャンピオン、エデル・ジョフレとのギリギリの戦い、試合の前に立ちはだかる過酷な減量、自らの青春の時間のすべてを、ボクシングで試合に勝つことに賭けた軌跡の一冊。
ファイティング原田は自らを、決して天才ではない、悔しさと希望で努力して、努力してきたボクサーだ、と言う。そしてこう続ける。自分が勝つこと、勝ち続けることは、努力すれば、才能のある奴にも勝てるという証明だ、と。
言い訳をするな!悔しければ、諦めるな!その言葉をファイティング原田はボクシングで示している。
読者は、挑むように読んで欲しい。この本を読んで、何を感じるか、
その感じ方こそが現在の自分そのものだと思うから・・・。










ABOUTこの記事をかいた人

相原 透

相原 透(アイハラ トオル) 東京生まれ。20余年、都内書店勤務。その後、出版社に転職。 週刊朝日、IN・POCKET(講談社)、銀座百点、公募ガイド 等  雑誌に書評、著者取材・原稿、寄稿多数。 講談社文庫『光二郎 分解日記 相棒は浪人生』(著者:大山淳子 2017年刊行)の解説を書く。 『カタヨリ荘』の住人になれて嬉しくて仕方がない毎日。 好きな作家:池澤夏樹、沢木耕太郎、桜木紫乃、伊吹有喜、大山淳子、柚月裕子