『尊敬と期待の作家、大山淳子さん』

紹介本:『光二郎 分解日記 相棒は浪人生』(著者:大山淳子 講談社文庫 2017年刊行)

2017年が始まると、すぐに週刊朝日「書いた人」の取材で、初めて作家・大山淳子さんとお会いした。小柄で、ゆっくりと丁寧に言葉を選びながら質問に答えてくださった大山さんは、実にひたむきで、誠実な人物だった。小学生の時、書いた作文を、児童文学作家の故・灰谷健次郎氏に褒められた記憶、中学生の時に買った本を今でも本棚から取り出して読んでいること、専業主婦で、子育てをし、決して早いデビューではなかった大山さんの語る、ひとつひとつの“普通”が、私には宝石のように魅力的であった。

『光二郎 分解日記 相棒は浪人生』は75歳の元中学理科教師・二宮光二郎が主人公、“相棒”は光二郎の孫で浪人生の二宮かける。 何でも分解して(修理して)しまう特技のある光二郎は、頭がショート!するとわけがわからない言葉を発する。しかし、かけるだけは、その言葉がわかるのであった。そして光二郎も、かけるの心の優しい、人間的魅力を充分に知っている。そんなふたりの迷探偵が事件を解決していくシリーズの第一弾が本書である。
大山さんが生み出す、ひとりひとりの登場人物たちが、実に愛おしい。傷もあれば、失敗もする、上手くいかないことのほうが多い人生を各自が迷いながらも、一生懸命に生きている。
取材の中で、私は「大山さんは“普通”であることの尊さを知っている人なのだなぁ」と強く感じた。
大山さんの推薦で、私はこの文庫の解説を書かせていただいた。
それは、作家・大山淳子さんへの尊敬と期待を込めてのエールの文章になった。

つい先日、大山さんの原作『猫は抱くもの』(キノブックス)の映画化、犬童一心監督、主演:沢尻エリカ 2018年6月公開というニュースを知った。嬉しい!
既刊本『あずかりやさん』(ポプラ文庫)は、ある書店チェーンが独自にフェア展開をおこない、現在、重版を何度もしているそうだ。すごい!
そして、今 「カタヨリ荘」のブックレビューで、ふたたび『光二郎 分解日記 相棒は浪人生』をとり上げている。
大山さんで始まり、大山さんで終わる。そう、実に良い一年だった(拍手!!)


ABOUTこの記事をかいた人

相原 透

相原 透(アイハラ トオル) 東京生まれ。20余年、都内書店勤務。その後、出版社に転職。 週刊朝日、IN・POCKET(講談社)、銀座百点、公募ガイド 等  雑誌に書評、著者取材・原稿、寄稿多数。 講談社文庫『光二郎 分解日記 相棒は浪人生』(著者:大山淳子 2017年刊行)の解説を書く。 『カタヨリ荘』の住人になれて嬉しくて仕方がない毎日。 好きな作家:池澤夏樹、沢木耕太郎、桜木紫乃、伊吹有喜、大山淳子、柚月裕子