『冬の本、84人のエッセイ集』

紹介本:『冬の本』(著者:本を愛する84人 夏葉社 2012年刊行)

たったひとりの社員・島田潤一郎さんが作り、働いている出版社・夏葉社。
今から5年前の冬に刊行され、ロングセラーとなっているのが、『冬の本』。
なんていいタイトル! 「冬」と「1冊の本」をめぐる、84人の書き手によるエッセイ集。
執筆者は、作家、ミュージシャン、脚本家、翻訳家、詩人、俳優、装丁家・・・と多種多様な84人。すべて掲載順(あいうえお順)に下記に挙げることにしよう。
タイトルのとおり、冬になると(寒くなると)本棚から取り出して、好きな人、気にいったエッセイから読んでもいい。知らなかった書き手のエッセイは新鮮で、この人はどんな人なのだろうかと想像してみるのもいいかもしれない。きっと誰もが、自分にとっての「冬の本」を考えるだろう。
「冬」と「本」というふたつのキーワードで、自分でエッセイを書いたら何を書くだろうか?
もし自分がこの本の編集者だったら、誰に書いてもらいたい?
私は・・・・「カタヨリ荘」の住人にはぜひ書いてほしい(笑) 絶対に読みたい!

書店員だった私と出版社で働く島田さんは、一度だけ会ったことがある。
私の書店に営業に来てくれたのだ。その時、一緒にランチを食べて、映画や音楽の話をした。
なぜかお互い、出版業界の話も、業界の現状も噂話もしなかったと思う。
私は夏葉社の刊行書と、島田さんの書く文章を読めば、その幸せも苦しさもわかるような気がしていた。島田さんは私が働く書店の棚や平台に積まれている本、そして店の立地や集客で状態がわかるのだと思う。お互いに頑張っている。それだけで充分だった。たわいもない話が楽しかった。「また、会おうね」電話では何度もそう言いあっているけど、なかなか会えないでいる。
でも、『冬の本』を本棚から取り出す時、「どうしているかな?」と島田さんのことを思う。
あなたの“冬の本”は何ですか?

『冬の本』 執筆者
青山南、秋葉直哉、淺野卓夫、天野祐吉、安西水丸、いがらしみきお、池内紀、池内了、石川美南、井嶋ナギ、伊藤比呂美、伊藤礼、井上理津子、岩瀬成子、上原隆、宇田智子、内堀弘、大竹昭子、大竹聡、大谷能生、岡尾美代子、岡崎武志、荻原魚雷、角田光代、片岡義男、木内昇、北澤夏音、北沢街子、北村薫、北村知之、久住昌之、小林エリカ、越川道夫、小西康陽、近藤雄生、佐伯一麦、柴田元幸、杉江由次、杉田比呂美、鈴木慶一、鈴木卓爾、鈴木理策、曽我部恵一、高橋靖子、高山なおみ、田口史人、竹熊健太郎、武田花、田尻久子、田中美穂、丹治史彦、友部正人、直枝政広、長崎訓子、名久井直子、能町みね子、橋口幸子、蜂飼耳、服部文祥、浜田真理子、早川義夫、平田俊子、平松洋子、文月悠光、穂村弘、堀込高樹、堀部篤史、ホンマタカシ、前野健太、万城目学、又吉直樹、松浦寿輝、町田康、南博、森山裕之、安田謙一、柳下美恵、山崎ナオコーラ、山下賢二、山田太一、山本善行、吉澤美香、吉田篤弘、吉本由美

装幀:和田誠

 

 

 


ABOUTこの記事をかいた人

相原 透

相原 透(アイハラ トオル) 東京生まれ。20余年、都内書店勤務。その後、出版社に転職。 週刊朝日、IN・POCKET(講談社)、銀座百点、公募ガイド 等  雑誌に書評、著者取材・原稿、寄稿多数。 講談社文庫『光二郎 分解日記 相棒は浪人生』(著者:大山淳子 2017年刊行)の解説を書く。 『カタヨリ荘』の住人になれて嬉しくて仕方がない毎日。 好きな作家:池澤夏樹、沢木耕太郎、桜木紫乃、伊吹有喜、大山淳子、柚月裕子