『ロックの好きなベイビー抱いて』

紹介本:
『YOU MAY DREAM ユー・メイ・ドリーム―ロックで輝きつづけるシーナの流儀 』 (著者:シーナ じゃこめてぃ出版 2009年刊行)

『シーナの夢 若松,博多,東京,HAPPY HOUSE』(著者:鮎川誠、栗田善太郎、寺井致、松本康 西日本新聞社 2016年刊行)

車の助手席から降りてきたシーナさんは待っていた私の名前を呼び、真っすぐに見て、こう言った。「お手紙と感想、ありがとう。ちゃんと読んでくれて、すごく嬉しかったわ」

2009年、某書店の会議室でおこなった『YOU MAY DREAM』の著者インタビューで、シーナさんに1時間半、たくさんのお話を伺った。
音楽を愛し、バンドを大切に、不確かな時代を迷うことなく、自分のアンテナ(感受性)と夫・鮎川誠氏を信じて突き進んできた今までの人生を語ってくれた。
「子供の頃、破天荒な自分を信じてくれた家族、ライブハウスで出会ったマコちゃん(鮎川氏)、そしてバンドで歌うことになった時、子供を産んだ時、そして今も続いている日々のライヴ・・・幸せだと思う。人生に感謝の気持ちでいっぱいです」
北原白秋の作詞『この道』をカバーしたこと、作家・瀬戸内寂聴氏との出会い、故・松田優作氏からの深夜の電話、鮎川氏が俳優として出演した『ジャージの二人』に“メイク”担当でついていったこと・・・様々な魅力的なエピソードばかり。
私が「阿久悠さんの作詞、『ロックの好きなベイビー抱いて』は聴いていて、映像がうかびますね」と話すと、シーナさんは「阿久先生もそう言っていた。阿久悠先生の作詞は宝物ね。大切に歌っていきます」と笑顔で答えてくれた。
その後、深夜の下北沢の酒場で、偶然鮎川・シーナ夫妻と再会、朝まで飲んだのがシーナさんとお話した最後だった。私は、シーナさんのあの笑顔と声と優しさを忘れない。

2016年、九州の出版社から、鮎川氏はじめ4名の語りで構成された『シーナの夢』が刊行された。その本をベースに、鮎川・シーナさんをモデルにした『YOU MAY DREAM』(NHK福岡制作・2018年放送予定)がドラマ化されるという。物語は終わらない。

 










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相原 透

相原 透(アイハラ トオル) 東京生まれ。20余年、都内書店勤務。その後、出版社に転職。 週刊朝日、IN・POCKET(講談社)、銀座百点、公募ガイド 等  雑誌に書評、著者取材・原稿、寄稿多数。 講談社文庫『光二郎 分解日記 相棒は浪人生』(著者:大山淳子 2017年刊行)の解説を書く。 『カタヨリ荘』の住人になれて嬉しくて仕方がない毎日。 好きな作家:池澤夏樹、沢木耕太郎、桜木紫乃、伊吹有喜、大山淳子、柚月裕子