岐阜をドライブ

 僕らが2014年からこつこつ作り続けている「横浜を舞台にした連作ショートフィルム『Life works』」を、ロックフィルジャムというイベントのプログラムの一つとしてセレクト上映してくれるというので、岐阜の可児市(かにし)まで行ってきた。
 企画をしてくれたOくんは、各務原市(かかみがはらし……読みにくい町ばっかりだな、岐阜!)で、自分たちの町の映画を作って上映しようと活動を続けている青年で、いろいろな町おこし映画などを調べているうちに『Life works』のことを知り、作り方や上映の仕方に興味を持って連絡をしてくれたことから交流が始まった。こういう映画なら自分たちにも作れるのではと地元の皆にイメージしてもらうためには、実際に作品を見てもらうのが一番だと、僕らの作品群から6本を選んで一つのプログラムとして上映を企画してくれたのだ。
 岐阜羽島駅に下りたのは、おそらく生涯2度目で数十年ぶりだったけど、相変わらずホームからずっと遠くまで見渡せる、風が吹き抜けるような駅で、Oくんが、「なんにもないでしょう?なんでこんなとこに駅を作ったんでしょう」というお決まりのセリフで迎えてくれ、彼の車で会場に向かった。
 このドライブがやたら楽しかった。流れていく風景はまったくどこにでもある日本の地方都市なのだけれど、やっぱり地元の人とお喋りしながら行くと、風景が断然違って見えて、とても楽しい。
「これから、知る人ぞ知る川沿いの土手道を行きます。そうすると約30分くらい信号無しで走れるので渋滞を避けられます」
「もうすぐ笠松競馬場っていう古ーい競馬場が見えてきます。なんでこんなとこに作ったのかは知りません」
「この先には、アクア・トトぎふっていう世界的にも珍しい淡水魚専門の水族館があります。淡水魚なのでやたらメタリックな感じの魚がいます。川のような流れを作らないといけないので大変らしいんですが、地味です」
「岐阜城がもうすぐちらっと見えます。平たい土地なので、けっこういろんな場所から見えるんです。岐阜といえば織田信長なんですけど、信長って数年しかあの城に居なかったんですよね。武将としては斎藤道三の方がこのあたりを大事にしたと思うんですが」
「岐阜、暑いでしょう。なかでも多治見市が日本で一番暑い町らしいです。平気で40度超えます」
「このあたりは古くからNさんという一族の土地で、この一帯みごとにどの家も名字がNさんです」
「日本の女優第1号、川上貞奴さんの菩提寺です」
「ここ、日本ラインロマンチック街道です。何がロマンチックなのかわかりませんが」
「鵜飼見たことありますか。鵜飼は日本ラインでもやってるんですけど、日本で唯一、長良川の鵜匠だけは国家公務員なんですよね」
「ちなみに岐阜ではスーパーで鮎を売ってます。横浜では売ってないですよね」
 駆け足で教えてくれるトリビアで、なんだか岐阜通になったような気になった一日だった。
 上映も大成功で良かった。イベント上映という性質のせいなのか、映画を見なれていない人が多いのか、上映中に喋る人がけっこういたのだけれど、それがなぜか全然嫌じゃなく、おそらくテレビを見ているのと同じ感覚で見て思ったことをそのまま口にしているという感じで、何の知識も情報もなかっただろう映画に、素直に声をあげて笑ったりすすり泣いたりしてくれて、ああ、本当に作って良かったなと、なんだか感激してしまった。
 上映後のトークやスタッフの皆さんとの食事会もやたらに楽しく、やはり旅は人との出会いだなと、久々に「街の声を聴きに」行った気がした旅だった。