今日で56歳

 たぶん多くの人がそうだと思うのだけれど、年々、自分の歳を思い出せなくなる。
 えーと、もう56なんだっけ、まだ55なんだっけ、と、たいがいは1年前からもう次の歳の気分になっちゃっていて、若く間違えることはまずないから、無意識にサバを読んでるのとは違うと思う。
 50歳なんていう区切りの歳ならはっきりしてるかといえばその逆で、48歳ぐらいから「ああ、もうそろそろ50なんだな」なんて思ってるもんだから、49歳になった時にはもうすっかり50歳気分で、人に聞かれた時に「50になりました」なんて即答していたりした。きっとそのあたりからもう本格的にわからなくなっちゃったんだと思う。
 すっかりあやふやになっちゃって、歳を聞かれるたびに「えー、オレ、何歳なんだっけ」なんて言いながら今年から生まれ年を引き算するようになっちゃったけれど、今年は何年なのかすらわからなくなっちゃったりしてて、あああ、と情けなくなったりする。
 これ、早く歳をとりたいのとも忘れたいのとも、違う気がする。きっともう、どうでもいいのだと思う。若い頃と違って、真新しい体験の数が減っているため、1歳や2歳では自分がもう大きく変化しないことをわかってるから、ざっくりと捉えちゃってるんだと思う。
 ともすれば、誕生日すら忙しさの中で忘れてしまうことがある。昨夜は寝る前に「次に会う時は56歳の俺だぜ」なんて娘に言って笑ってたので、今朝はさすがに覚えていたけれど、早朝からロケに出た年などは、1日すっかり忘れていることも本当にあった。これも、きっともう、どうでもいいんだと思う。
 人の歳もあやふや。娘の歳も、普段は学年で覚えてるせいか、ひとつ間違えそうになることが今年は何回かあった。大切な人の年齢まで間違えてしまうとは、情けない限りだ。そんな風だから、家族じゃない人の歳になると、いよいよわからない。知り合った時に30歳の子はいつまでも30歳のような気がするし、ちょくちょく歳を聞くのも失礼かなと思うから、ある時に年齢を聞いて、「えーっ、もうそんなに大人になっちゃったのぉ?」とびっくりすることがよくある。でも、それで急に歳とって見えるようになるってこともないから、年齢って関係ないんだなとも、つくづく思う。これは僕に限らずだと思うけれど、人の歳ってホント、当てられないよね。若さって、人によって本当に大きく違うと思う。
 でも、せっかく今日は誕生日だし、56歳だということもちゃんと確認できたので、気持ちを新たにこの歳の抱負を考えて始めてみたのだけれど、そしたらやっぱり、この1年じゃなくて、ざっくり3年計画みたいのになっていっちゃって、もはや自分の時間は1年単位じゃないんだなと自覚した。でも面白いのは、10年という長い単位でも考えないってこと。これは、そこまで生きてるかわからないって思ってるからだね、きっと。人生の帰り道ならではの感覚だ。
 ということで、56歳の抱負。今年は、先走って勝手に57歳になっちゃわない1年にしたい。あはは。どうでもいい抱負だな。そして、「あれは56歳の時だった」とはっきり思い返せる、記念的な素晴らしいことを実現できるように、この1年頑張ろうと思います。