雪!

 雪です。積もりました。
 横浜は去年一昨年と降らなかったので、今年は来るんじゃないかと思ってたら、ばっちり。
 いくつになっても雪はワクワクします。のんびりエッセイ書いている場合じゃなくなります。昨日の昼から、やたら窓の方に行っては「わあ、すごい」とか「どのくらい積もるかな」「あ、やんでる」「また降りだした」と、落ち着きがないこと、この上ない。結局、夜半にやんだのか、寝る前に想像したほどは積もらなかったけど、ちゃんと雪景色です。
 誰も踏んでいない真っ白な空間に踏み出す時の、あのなんとも言えない気持ち。ギュ、ギュ、キシッ、というあの感覚。雪以外では体験できないあの感覚。ああ、たまらない。北海道でもアラスカでもモンゴルでも、「雪のどこがそんなに面白いんだ」という顔を土地の人にされたけど、僕には「海のどこがそんなに面白いんだ」という質問に等しい。どれだけ見ても見飽きない。どれだけ踏んでも踏み飽きない。街の雪はいつもつかの間だから、どれだけ歩き回ってもまだ踏んでない場所がある雪国は羨ましいなあと思う。
 我が家は丘の上に位置しているので、坂道であちこち滑りやすく、道が凍ってしまうとすぐに陸の孤島化してしまうので、大人たちは除雪スコップ持って自分ちの前以外にも雪かきに出なくちゃいけないんだけど、正直、僕にはそれも遊びです。ご高齢のお宅も多いから「ついでにやっときますねー」なんて親切ごかしに言ったりするけれど、遊びです。褒めてもらえる遊びって、なんて素敵なんでしょう。さっき、通りまでうひゃうひゃと一本道を作ってたら、あちこちで随分感謝してもらって、内心後ろめたいぐらいでした。
 そして! この仕事に見せかけた遊びを済ませてしまえば、もう今度は純粋に遊んでも誰にも叱られないので、今、かまくら作ってきました。雪をブロック状に切り分けて積み上げていく本格的なのは雪も技術も足りないので、こんもり山を作って中をチリトリで掘っていく庶民スタイルでやりました。ええ、やってやりましたよ。体育座りすると頭がつっかえちゃうこじんまりしたやつですが、とりあえず満足です。かまくら作るなんて、雪があんまり降らない地方では、生涯に数回しかないチャンスですからね。いろいろなことを後回しにしてでも、やりたかった。
 まだ娘が幼い頃、旭山動物園物語というスペシャルドラマの撮影で毎年北海道に行っていて、せっかくの機会だからと一度家族も呼び寄せて案内したことがあるのだけれども(その時に飼育員の衣装のまま園内を案内して回ったおかげで、娘はしばらくの間、お父さんの仕事は全国を旅する飼育員さんだと思っていた)、動物園はもちろん喜んでいたけれど、それより雪が珍しくて面白かったようで、ホテルの近くの道端で、15センチぐらいのかまくらを一緒に作って、その中にちっちゃい雪だるまを入れたのが、今でも楽しい思い出として残っているみたいで、たぶんそのことも、僕が雪を好きなことのひとつなんだと思う。
 明日どんだけ筋肉痛になったってかまやしないと夢中でやってたら、カミさんも「おー」と出てきたので、ちりとり渡したらニコニコやりだした。「ちゃぶ台とみかんも持って来ようか」なんてかまくらの中に置いたりして、いやあ、こういうことやり始めると、さすが夫婦、似てるなあと思う。
 それにしても、娘が帰って来るまでもつかな、あのかまくら。もつといいな。
 うーん、のんびりエッセイ書いてる場合じゃないな。もうひと回り、近所をパトロールして来るか。
 え? はい、そうです。パトロールという名の遊びです。
 行ってきます。